【校長ブログ】第7回 AO入試対策 何をやればいい? 〜準備編〜
※この記事はnoteにて2020年11月2日に掲載したものを再編集しています。
皆様こんにちは。あおい予備校 校長の武田菜穂子です。
11月に入り、総合型選抜(AO)入試の合格発表が始まり、当塾でもうれしい合格のお便りが届いております。
文部科学省の方針もあって、今年度より大半の大学で総合型選抜(AO)入試の出願が9月以降、合格発表が11月以降となり、昨年より1か月から1か月半ほど合格発表の時期がずれこんでいます。
その結果、元々準備にかなりの時間を要する総合型選抜(AO)はさらに長期化した印象です。
今回から3回連続で、総合型選抜(AO)入試を検討中の皆様に、準備編として何をすべきかをお話したいと思います。
目次
1.総合型選抜(AO)のタイプ
まずは入試のタイプについて。総合型選抜(AO)といっても、実は色々な種類の入試があることはご存知ですか?大雑把に次の3つに分類できると思います。
(1)事前提出書類重視型
2000字を超えるようなボリュームのある書類(志望理由書・課題論文・活動記録等)を提出させ、書類選考通過者に対して面接などの当日試験を課すタイプ。書類審査でかなり人数が絞り込まれる。
(2)バランス型
志望理由書等の事前提出書類は800字程度が多い。当日課される試験(小論文・実技等)の比重が大きい。事前提出書類は面接の資料とされる場合が多い。
(3)学力重視型
一般入試と同様に学科試験が課され、事前提出書類及び面接でトータルに合否が決まる。医学系・医療系に多いタイプ。学科試験は一般入試よりは難易度が低いので、高得点がマスト。
これらの3つの入試タイプに共通して重要なことがあります。
最も重要なこと、それは事前提出書類(その中でも志望理由書)※です。
※志望理由書とは、エントリーあるいは出願の際に提出する書類で、これをもとに面接・面談での意思確認などが行われます。
「何をどのように学びたいのか」
「なぜその大学でなければならないのか」
を自らの経験を踏まえ説得力ある形で論じなければなりません。
そのためには、志望校についての正確な情報(カリキュラム・授業内容・教授陣の研究分野)を入手し、それに合わせた学修計画を示す必要があります。
もちろん、他の志願者との違いを出すことも忘れてはいけないポイントです。
2.AO入試とは一芸入試ではない!学力対策も必須!
「総合型選抜(AO)」入試の本来の意義を考えるなら、高校時代に力を注いできた活動が、大学で学びたい分野と接続できていることが最重要ということなります。
総合型選抜(AO)入試は、ひと昔によく言われたような「一芸入試」ではありませんし、学力不問の試験であるというのは大きな誤解です。
多くの国公立大学の総合型選抜(AO)入試は、共通テストの試験成績を合否判定に利用していますし、多くの私立大学も英語外部試験のスコア等を出願資格の1つにあげています。(英語の外部試験対策については前回の記事をご覧ください)
大学では、必修科目以外は、どんな授業をどのようなペースで取るのかは、学生自身の選択に任されているのですが、同時に学修の効果をどれだけあげられるかは学力を含めた「適性」も見られるということです。
3.なぜAOなのか、そして就活との違いとは
多くの大学で総合型選抜(AO)の存在感は強まっています。
その理由の1つとして、少子化による18歳人口の減少により、優秀で学ぶ熱意のある学生を早めに確保したいという経営的な面だけではではない理由があげられると思います。
大学教員からすれば、学ぶ意欲がある学生というのは教え甲斐があるし、実績もあげやすいのではないかと思います。
そうした人材というのは社会にとって有為であり、長い目で見ればその大学の研究力・教育力の評価を高めてくれることになるでしょう。
このように書くと、就活に近いイメージを持たれてしまうかもしれません。希望の企業に入るために、企業研究に力を入れ、エントリーシートに工夫を凝らすという点で、確かに総合型選抜(AO)は、就活と似ているかもしれません。
ただ就活の場合、企業の側から見れば、これまでの採用実績から成果を出しやすい人材のプロファイリングを基礎にしています。
一方、学術研究では「新しさ」「独創性」が求められ、採用もこれらを基礎にしています。
また、企業の採用担当者は就活生の「将来の上司」ですが、大学教員はどちらかと言えば、同じ分野で「同志」、つまり「一緒に研究する仲間」を志願者に求めています。
総合型選抜(AO)で「志望理由書」が最も重要であると言えるのはこの理由によります。
4.〜今回のポイント〜
総合選抜型(AO)入試で合格したいなら、
「何を学びたいのか」を徹底的に考えることからはじめることが何よりも大切です。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など